○ 人間だけがなぜ太るのか

■ ホモ・サピエンスからホモ・フォアグランス?へ進化した人類

太った野生動物をTVなどで見ることはない。人間に飼われているペットでは 肥満が問題になっています。
人間が進化してきた時代の食料事情は決して良くなかったでしょう。我々の遺伝子が いい食糧事情の環境で生活できた一部恵まれた人だけが生存し、それが継承されてきたとは考えにくいのです。 
ネアンデルタールやクロマニヨン、ホモサピエンスは氷河期の末期に生活していたといわれるなら食料が豊かと思えません。
悪い食料事情の下で人間の身体のシステムが出来上がったと考えたほうが 正しいと思います。飢餓にも耐えられる身体構造に進化したので今まで生きてこられたと思います。高効率のシステムになったのだと思うのです。
実際、減量していて 「これしか食べていないのに太るんだと」 感心したこともたびたびでした。自分が思っているよりはるかに少ない食料で 人間は生きていけます。そのことを改めて理解することが減量には必要だと思うのです。
現代文明は 食料の生産、流通、サービスなどを産業として発展させ 我々に飢餓の心配のない生活を作りだしました。私たちの胃袋は大量供給のルートに直結しているのです。鴨の喉に食べ物を流し込んでフォアグラを作るような状態が 私たちの食事情なのです。ホモ・サピエンスをもじって ホモ・フォアグランスとでも呼んだほうがいいのです。
健康的な食事はどうあるべきかがまだはっきりしていないのが現状です。 本能に任せていては 生活習慣病にさいなまれることになってしまいます。人間が管理するペットも同じ問題があります。

■ 現代の食料事情は 神も想定しない飽食の時代です。

今の日本の食糧事情は 店にはたくさんの商品が 家庭の冷蔵庫にも在庫がありまったく問題がなくなりました。食料のストックは十二分です。 
いつの間にか 1日3度の食事が習慣になって 時間がくれば食べるようになりました。カロリーオーバーでも 決まった時間においしく食べることができます。 だから誰もおかしいと感じないで3度の食事を続けられます。
満腹中枢があり もう食べなくていいよと信号をだしてくれる生理機能があると説明されます。しかし これが適正な食事量ですという信号ではないと思うのです。あくまでも足りないときにストックするように作られているのだから少しでも多く食べるように機能しているはずです。身体に負担になるという危険信号なのだと思います。
飽食の時代など 神様は考えていなかったのでしょう。進化の過程で経験したことがないので たまりすぎた脂肪に対するシステムの必要性などなかったのです。 今、未対応の欠陥があらわになったのだと思います。有り余った脂肪が血管内に、ごみとして放置されているのが コレステロールなのではないでしょうか。
食べ物にありつけない日のために 食べられるだけ食べるように作られている人間が 毎日決まったように 食べ続けているのが 現状なのだと思います。

■ 内臓脂肪、体脂肪について


原始人は収穫や捕獲で 食料を確保したとき 貯蔵などできないから 食べられるだけ食べたのだと思います。
何時 食べ物にありつけるかわからないから 食べられるだけ食べて 内蔵脂肪や体脂肪として保存するシステムは進化の過程で作られ 生存するには不可欠な仕組みだと思います。 別腹という胃の働きは 食べられるだけ食べることができるように 胃を拡大する働きなのではないでしょうか。現代であればその機能が 食事の後おいしそうなケーキを見たとき 胃が動き 隙間を作ってたべることができるということで理解されていますが 本来は十二分に食べられる生理機能だったのでしょう。
広大な土地で 次に食べるものが続々と生産されています。船や車に載せられ 冷凍倉庫に保管され 店に並んでいます。その食料が我々の胃袋と直結して どんどん流し込まれているといえます。

■ 腸の長さは食料在庫の意味もあったのでしょう
草食動物の腸は肉食動物より長めです。 草食は消化に時間がかかることで腸の長さが説明されています。
こうも考えられるのではないでしょうか。肉食動物は 獲物を捕らえるために軽快に走らなければならず 長い腸を持つことは不利です。一方 植物は面的に成長しているので一度に多く食べられるように腸が長くなったとも考えていいと思うのです。しかし長くなりすぎ動きが鈍くなれば肉食動物の餌食になってしまうので それなりの限度はあるのでしょう。
腸は1日から2日分のカロリーを溜め込んでおければいつでも動きだせるというべんりな機能なのだと思います。元始社会の生活圏は、腸に溜め込める量と次に食料をゲットできる範囲で生存してきたのではないでしょうか。
しかし 文明の進歩は 食料生産と流通、サービスを発展させて 生活圏や生活時間を自由にできるようにしてくれました。この便利さの影に 食べ続けられる身体の仕組みの代償を問われているのが 現代なのでしょう。便利さと身体のシステムの折り合いが付いていないのです。

■ 元始社会の食生活リズム


元始時代では 食事の時間も量もはばらばらです。腸での在庫は必須です。時にたくさんの食事にありつけたとき 体脂肪へ蓄積することができ 食間が伸びた時 体脂肪を取り崩して生活していたのでしょう。
ばらばらの食事だから 脂肪蓄積システムは 効果的に機能していました。
しかし時間が経つと お腹がぐーと鳴って さあ捕食活動に入れとベルが鳴り 次の食事の準備に動いたのだと思います。腹が減ると真剣に食料を探したのでしょう。私もお腹が減ったときのほうが集中できると感じることがあります。
血糖値が高いうちは 食のことをわすれて 別なことをやる 文化的な仕事をすることができたと思います。文化の発展は 長い腸の恩恵ではなかったのでしょうか。飽食の時代は 文化を発展させる時代ともいえます。

■ 現代人の食生活リズム

現代の食事のリズムは 時間も量も 習慣として 決まったように行われます。朝は軽めに 昼は外食などで 夜はなるべく家族と一緒に ということでしょう。
お腹が鳴るという経験をまったくしないでいられるのが 現代日本の食生活です。夕食はなるべく皆が好きなおいしいものを 十分食べさせたいと お母さんが腕によりをかけてご馳走を作っています。
これでは 太る一方です。時には痩せることも必要なのです。リバウンドは生体のダイナミズムを活性化するのでとてもいいのではないでしょうか。太って痩せての 繰り返しでいいのです。週末断食はダイナミズムの方策です。人間本来のシステムをうまく活用しているといえます。
食事の時間をずらすことも 一つの方法かもしれません。食事の量を変えるのも ダイナミズムの復活のためには 有効ではないでしょうか。
習慣として日常生活を行うこと つまり標準化するほうが トラブルが少なく快適になります。毎日食べるものが変わっていては 大変でもあります。しかし 身体のシステムを基本に考え 元気に生活するには 習慣化した食事を見直すことです。

■ 満タンのガソリンはもったいない
ガソリンを買うとき だいたい 10リッターにしています。ガソリンを荷物にして走るのはもったいないからです。ガソリンスタンドはどこでも見つけられます。それに窓ガラスも灰皿もきれいにしてもらえます。
ガソリンも食料も何時でも手にいれることができます。脂肪の長期在庫もガソリンタンクの余分なガソリンも 不必要な在庫です。
飽食の時代になれば 次の食事までに消費する栄養素を摂ればいいのです。言い換えれば 食べたらそのカロリーは次の食事まで使いきるということです。
食事は 消費予測に基づいて必要な分だけ摂ればいいのです。数時間の消費量を腸内に短期在庫で蓄えて 次の食事までに使い切ればいいのです。
満腹信号で食事の量を決めるのではなく お腹が鳴る信号で食事の量を決めていけばいいのです。いくらでも入る人間の胃や腸の大きさに合わせていたら 太ってしまいます。自分の消費エネルギーを基準にして 食事の量を決めればいいのです。

■ 頭で食べる時代

元始のように自然環境の中で生活するのなら わたしたちの身体と食生活は生態学的合理性も持って環境とうまく折り合いがついていたと思います。しかし文明の発達によって 食生活は豊かになりました。その結果私たちの身体のシステムが現代文明環境とすれ違いを起こしています。自分の欲望のまま食事をすると  生活習慣病になってしまいます。肥満は文明病です。ホモ・フォアグランスにはなりたくありませんネ。

人間の進化で 飢餓を避けるため 強く食欲を感じるように作られました。飢餓を恐れる本能に対して「人間は ほんの少しで生きられる」と頭で理解することです。食欲を否定する拒食ではなく 食欲とうまく折り合いをつける食育が必要なのです。
高齢化社会になり 年寄りが 健康管理して元気な生活を送らないと 若者たちが払い込む健康保険金を年寄りが使い果たすことになりかねません。迷惑をかけないようにすると同時に 自分が元気に生活できるよう 健康管理したいものです。
頭で考え意識しないといけない状況です。ほんの少しで十分健康に生きていけると分かって 次の食事までの必要カロリーを考え 頭で食べないといけない時代になっています。
肥満は文明病です。ダイエットとは文明と人間の身体と折り合いをつける考え方や生活スタイルを決めることです。ほんの少しで生きられることを学べば 老後の生活費のエンゲル係数もかなり減ります。安心して生活できます。
屋根をはずし屋上菜園を作れば 自給自足で 毎日新鮮なベビーリーフサラダが食べられます。菜園での作業が毎日のエクササイズと考えれば 運動不足の問題もなし。皆さん、減量と屋上菜園の生活スタイルを楽しみませんか。元気な生活をするために。